IN THE MOOD





No
Title
Words
Music
Judgement
EASY LOVE
松井五郎
氷室京介
IGNITION
松井五郎
氷室京介
★★★
BITCH AS WITCH
森雪之丞
氷室京介
★★★★
WILD ROMANCE
森雪之丞
氷室京介
★★★★★
HARVEST
森雪之丞
氷室京介
★★★
SAY SOMETHING
TAKURO
氷室京介
★★
IN THE NUDE -EVEN NOT IN THE MOOD-
森雪之丞
氷室京介
★★★
SWEET REVOLUTION
森雪之丞
氷室京介
★★★
SHADOW OF YOUR SMILE
森雪之丞
氷室京介
★★★
10
PAIN
JAMES ADKINS,THOMAS D.LINTON,
RICAHRD BURCH,ZACHARY LIND
★★★
MISS MURDER
HUNTER BURGAN,ADAM CARSON
DAVID MARCHAND,JADE PUGET
★★★
12
STAND ALONE
松井五郎
氷室京介
★★★
13
SNOW-WHITE MOONLIGHT
森雪之丞
氷室京介?
★★






批評


先行発売のシングル6曲を含んだ、3年振りのアルバムが発売されました。この製作期間の間隔とシングル曲の数量は、氷室さん的にいつものことなのでいつも通りの活動といったところですね。お蔭様で、曲の半分は知ってるという形になりました。個人的には4曲までがシングル曲でとまって欲しいところですな。


今回はiTuneによる販売とCD製品の販売の2通りがありました。前者にCDに含まれない曲が一つあるのです。ちなみに後者はDVD付き。レビューとしては、iTune特典も入れたもので行います。


***


一発目はオリジナルアルバムとしては初の試みとなるバラード「EASY LOVE」からきました。今までだったら初曲はビート系からくるものなのですけどねえ。ワイロマかスイレボが固いと考えてましたが、今回は違うようです。


先行シングルですでに発売されてたものですが、最近のバラードの中ではダントツでのお気に入りです。イントロのメロディーを歌い終えた後、物語が始まって行くかのような雰囲気の打ち込み音がステキです。


氷室さんが使う打ち込み音は格好良いのですよね。ダンス系で使われるようなものではなく、ロックに使っても遜色なくあってるので個人的に好きです。この曲は雰囲気が重苦しい様子があるのですが、それを上手く演出しております。あとは歌詞のほうですが、こんな感じです。


なぜ光は闇を生むのだろう
それが答えのように
苦しみの深さが愛を計ろうとする


「相変わらずクサイ歌詞だなあ」と思うより、通常レベルより超越しすぎてるのでむしろ「格好いい」という印象を得ました(笑)。歌詞というより「詩」というほうが似合います。欧米にある詩選集に載っていそう。なお歌詞はお久しぶりの松井五郎さんです。


また曲の展開がすごいです。決めのサビからAメロに変わるところ(乾かない涙で〜といくところネ)では、ドラムだけを使っております。ほんの一瞬だけの演奏なのに、上手く流れを転じております。盛り上がってるところから、また静かな場面にむりやり持っていってるのに違和感がない。ここ聴いた時、「すげえなあ」と一人で騒いでました。こんなマニアな箇所で盛り上がってるのはおそらく自分だけでしょうけど。


構成云々いってますが、これはあくまで引き立て役です。やはり氷室さんの声がないと駄目ですよね。彼の声が無ければこの曲は成り立ちません。当たり前ですが、深みのある音色ボイスでイメージが我々に伝わってるものですし。最後のサビでも転調してる部分があり、ボーカルだけでも十分に楽しめる仕上がりになっております。


ここまであれば私としましては、星五つあげるものです。でもそれはシングルの話です。アルバムバージョンはですね、得体の知れないラップが入ってるのですよ。個人的にはこれが気に入らない。うん、すごく気に入らない。何ていいますかね、絵を描きあげた後に墨汁をぶっかけられた感じ。


一番気にいらない箇所はサビの「EASY LOVE〜♪」と入る前に、ラッパーが「カモン♪」と叫んでるところです。この曲はそうじゃねえだろうと聴いた瞬間ツッコミました。何がカモンだ、お前はレモンでもかじってろ。大体お前のラップは(以下不適切な発言が続きますので削除)。


・・・とにかく、バラードにラップはあわない(個人的に)。一応何回も聴きましたが、ありっちゃーありかなと思わなくもありませんが、やっぱり「邪魔だ、お前!」としか思いません。なもんでアルバム版の評価は星ひとつで。


さて、そろそろ2曲目「IGNITION」にいきます(笑)。一言でいうならば、砂漠を一人彷徨う時に似合いそうな曲です(どんな曲だ)。ファンクラブの会報では、「息子を元気づけられるような曲」と氷室さんはいってたそうです。ラブソングでなく、心の向け先についてあるような感じでした。


サウンドはアメリカンロックに近いような感じ。日本テイストが強い印象もありますが、ギターの流れがそう感じます。すうっと聴けるので、なかなかいい感じな曲です。それにしても父親から励みの曲を貰えるなんていいですね。私が将来息子に同じ事をしたらひかれるでしょうネ。よし、息子できたらやってみよう!


「ビッチ」「ワイロマ」は先行シングル品です。最近のライブでやりまくってますので、ライブレポ見ればわかると思いますが、この2曲好きです。「ビッチ」はシャカシャカいってるサウンドがお気に入り。「手招きするPleasure 実はDanger Zone♪」というサビ部分もイイ。


「ワイロマ」はライブにおいて盛り上がる曲に成長しております。氷室お家芸のエイトビート曲ですが、「ANGEL」「Summer Game]とためをはれてます。本人もイケイケ(死語)な曲といってる位な奴で、歌詞もクサすぎてステキなものです。歌詞はアルバムバージョンとして、セミヌードをフルヌードにするかと思ったのですがしませんでした。


良く考えたらコノ曲、2004年に出ててようやくアルバムに収録されたんですよ。アルバム聴いてて「ニューアルバムの割には慣れ親しんだ曲があるなあ」と思ってたのですが、2年間も聴いてたらそう感じますよね。他の氷室ファンも同じ印象を抱いたのではないでしょうか。


「HARVEST」は出だしから氷室さんの声だけです。そして盛り上がってくパターン。最初聴いた時は「Julia」のような甘いラブソングかと思いました。しかし、最後まで聴くとそうではありません。ラブラブなものでなく、「いつのまにか愛があった」というもので、確固たる言葉や形にできるものでなく−曖昧ではあるが−信頼・優しさといったものについて歌った曲です。


こういう歌詞は森さん上手ですね。氷室さんも今までそういう曲ちょこちょこやってますが、読んでいて行間にある意味をすごく感じやすくなってます。メロディー的には甘い印象を受けますが、サビにきたらグラッときます。そのサビにやられたーみたいな。最も殺人的なのは最後のファルセット。氷室さんの声の極みがここにあります。ファンなら聴いた瞬間に撃墜されるでしょう。ちなみに私も「fu〜」と真似したのですが、駄目でした。この声は氷室さんしかできねえ。


んで「SAY SOMETHING」。GLAYが歌詞・コーラス・サウンド担当です。イントロ聴いたら「ああ、彼らの音だ」とすぐわかりました。彼らがライブでやってても問題なさそうです。会報では「アメリカ人に演奏して貰ったけど、よろしくなかったので彼らに頼んだらすごい良かった」とありました。この曲は邦楽要素が強いですから、アメリカ人じゃやりにくいでしょうね。


別に悪い曲ではないのですが、氷室さんが作曲した割にはGLAY要素が強いんですよね。GLAYと一緒にやった「ANSWER」のカップリングとして相応しいような気がします。ソロとしての氷室さん要素が少ないので、ちょいと「これは別」みたいな印象があるのです。インパクトが少ないのかなー。


「IN THE NUDE」。ギターのリフが強めにした、明らかにライブ用として作られたであろう曲。タイトル見た瞬間、私は以下のようなものと思ってました。


男:「IN THE NUDE!」(ガッツガッツさせておくれ)
女:「EVEN NOT IN THE MOOD!」(そんな気になれないわ)


期待に応えてくれたのか森さんは「ラメのパンツとミュールと憂鬱を脱いでブラのホックと一緒にハメまで外せ♪」という歌詞をつけてくださいました。そのまんまじゃん(歌詞では断ってないけど)。あとタイトルに相応しく、「ヌード」「脱ぐ」という単語がゴロゴロしております。ライブ会場ではきっと、「ヌードの曲が・・・」「ラメのパンツ・・・」といった単語がファンの中で飛び交いそうです(今年の流行語大賞?)。


もしかするとライブグッズで「ラメのパンツ」が販売されるかもしれません。もちろん「K.H」のロゴ付きで。これは売れるネ。氷室プロデュースとかあれば、女性ファンは「氷室さんが望むんだったら・・・」と即購入。一枚8000円でも買うでしょう。なお、「ラメのパンツってどんなの?」という方はご自分で調べてください。ヤフーオークションでもでてますよ(今後ここにも検索きそう)。


お次はこれまた先行シングル品の「スイレボ」「シャドスマ」です。「スイレボ」はノリのイイエイトビート曲です。本来は「EASY LOVE」のカップリングとして出る予定でしたが、なぜか半年後に発売。ライブでも盛り上がる奴です。イントロのドラム、そして「ハァア〜ハァア〜♪」と歌う所が好き。ちなみにカラオケではすごい低い声で歌いました。


氷室さんは歌詞について「詞も新しい一面」と評価してます。やっぱ「ヘブンて書いていきどまりと読め♪」でしょうか>違う。無理があるなあと思いつつ、こういう表現にはまっていくんですよね、ファンは。私はこれを雪之丞マジックと呼んでいますが、今回も見事かましてくれました。


「シャドスマ」はよくありがちな曲調です。サビに英語のフレーズを入れて、そして日本語フレーズで語るような奴。メロディーも繰り返しが多い。初期のころにちょこちょこ使ってたもので、久しぶりな印象を受けました。


アルバムの一番特徴であるカバー曲「PAIN」「MISS MURDER」。ソロになってシングルでは一曲だけカバー曲をしてましたが、アルバムに、それも2曲もいれるのは珍しいです。氷室さんは「気に入ったからいれてみた」との事。原曲はまだきいてませんが、特に違和感はなく、氷室さんが歌ったらこんな感じかと思います。


多少アレンジはしてるでしょうけど、基本的に原曲と同じなのでしょうか。編曲は完全に洋楽テイストです。あの流れは洋楽そのものなので、現地の人に手伝って貰ったのが大きいような気がします。氷室さんもできそうではありますけど、ああいうのは今までにないものですんで。


「STAND ALONE」はしんみりとした曲です。淡々と歌っている様子がグーです。寂しげなメロディー、シンプルなサウンド(イントロのアコギが特に)でなっており、アクが強い曲がそろってるこのアルバムの中で一線を画したおります。


んでボーナス曲の「SNOW-WHITE MOONLIGHT」はタイトルみた時、「白雪姫」と想像したので、しっとりしたクリスマスソングなのかなー思いきや、「アクセル踏んでGO!GO!」という曲でした(笑)。タイトルにだまされた人は多いでしょう。すごいご機嫌な曲でした。


***


そろそろまとめにいきましょう。全体的にはノリのいい奴ばかり入ってます。ビート系は結構ありますし、カバー曲も激しいサウンドのものですし。おとなしいものは「1・5・9・12」ぐらいでしょう。バランス的にはちょうど良いのかな。


今回はiTUNE販売を考えれば13曲も入ってます。これはオリジナルアルバムでは過去最高の収録数です。ただし、カバー曲が入ってる事を考えなければ、いつもどおりの曲数ともいえます。


内容は一曲ごとパンチが強いです。あらかじめライブ向けとして作ってるような印象があります。先行シングル6曲中すでに4曲ライブでやってますし、カップリングにある「いんざぬーど」はアルバム・ツアータイトルでもある事から演奏する確立高いでしょうし。アルバム曲でも基本的にノリノリな奴多いので、どれをもってきても問題ないでしょう。


構成は邦楽・洋楽がそれぞれ入ってるような感じで、まさに和洋折衷。カバー曲はまさに洋楽ですし、GLAYのは邦楽です。サウンドにおいてはアルバム「FOLLOW THE WIND」から感じてますが、太い音がメインになってきてます。それ以前においてはすこし高音を意識したものでしたけど、それがなくなってきてます。これは最近の流行がありますから、自然な成り行きなのでしょうか。


歌詞は久しぶりの松井五郎さんやTAKUROさんがきました。森雪之丞さんとは違った一面もみれたので楽しめましたね。カバー曲を入れた事もそうですが、今回のアルバムは「色んな事やってみよう」という意欲を感じます。氷室ソロワールドはあまり展開されておらず、外部のものをとりこんでる節があります。かといって、その中で氷室さんソロ的な部分はないというわけではありません。


でもマニアックな氷室曲がありませんでした。アルバム出す時は必ず一曲はあるのですけどねえ。今回はノリノリなものや比較的聴きやすいものが多かったです。それがアルバム自体が単調なものに陥りやすくなるでしょうし、個人的にそこが減点。とはいえ、ロック調が強いアルバムとして考えるならば、これはこれで良いものです。特にギターきかしまくってる点においてはグー。


一番がっかりしたのはアレ。「EASY LOVE」のアレ。とにかくアレ。これですなあ。ラップがうざいと感じたらシングル聴いてください。問題は一気に解決します。とにかくライブでは入れないでほしい。


***


販売ルートについて最後にひとつ。CD発売に関しては初回限定生産品・通常生産品、そしてダウンロード品としてiTuneによる三種類の販売品がありました。iTuneに関しては、CD品発売より1週間ほど早めに発売されました。特典としては13曲目の「SNOW WHITE」がある点です。この曲はCDには含まれておりません。


一方で初回限定品は、ライブDVDがついてきます。幕張メッセでのカウントダウンライブ・GLAYと合コンライブがはいってるものです。ちなみに通常品は、このDVDがないので若干お安くなってます。


氷室ファンならばiTuneにある新曲は捨てがたいと思いますし、かといって初回限定についてくるDVDも捨てがたいと思います。普通考えるのであれば、iTuneについてくる新曲だけを購入し、初回限定版を購入するのがセオリーです。


氷室イチファンである私ことシンドは当然その路線を考えてましたが、失敗しました。iTuneのダウンロード品を全曲購入し、そして初回限定版を買いました。そんなこというと「馬鹿だなあ」と思われるかもしれませんが、個人的にだまされた感もありました。


iTuneで購入する時、「全曲あわせて2000円で購入する予約画面」を見たのです。ああここで買うしかないんだと思い特典一曲の為に仕方なく全曲購入したのです。しかし後日iTuneでたまたまこのアルバム購入画面にいったら、なんと一曲ずつ買えるページがあるではありませんか。


予約画面はどうやら特設ページのようで、通常画面とは別だったのです。iTuneで購入するのは私は初めてでしたので、これはショックでした。不親切でわかりづらい。一曲だけ買えるならリンクはってくれれば良いのに。気づかない自分が悪いのかもしれませんが、初心者にとっては厳しいです。


初回限定品もそうです。購入したら、初回限定のCD・DVDのデザインが違ってるというお詫び文書がついてきました。対応としては「取り替えるから会社に送って」という面倒な事になりました。音質・映像は問題ないといってますが、なんか気分的にすぐれるものではありませんね。


コア中のコアなファンはもう一枚初回限定品を買って、取り替えてもらい、本当のものを頂くといったことをしそうです。ここまでくると、レコード会社の新たな戦略かと思いました。無論、初回限定を二回購入するのはその人の自由なのでその点は責めませんが、ファン心理をくすぐる紛らわしい販売はやめてほしいですね。私はデザインはどうでもいいので初回限定品を二回購入しませんが、iTuneは厳しかった。お金払った後に気づきましたし。


氷室さんが歌う曲に関しては全て聴きたいと思ってる自分にとっては、今後こういう販売方法はやめて欲しいですね。氷室さんが悪いわけじゃないですけど、彼に対してイメージが悪くなってしまいます。こういう販売方法は時代の流れだから仕方ないのかもしれませんが、とりあえず今後は注意しよう。皆さんもお気をつけをば。